院長コラム
Vol.2
ヒートショック
ヒートショックは暖かい部屋から寒い廊下やトイレに移動したり、寒い脱衣所で着替えた後に熱いお風呂につかったりするなど、急激な温度変化によって血圧が大きく変動することで生じる健康被害です。これが生じると意識を失ったり、ひどい場合には心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしたりする懸念があります。ヒートショックで死亡する高齢者の数は年間に1万人ともいわれています。これは室内で死亡する高齢者の1/4を占めています。夏場に熱中症で死亡する高齢者数が数百人程度であることを考えると冬のヒートショックは大きな問題だということがわかります。特に高齢者は体力が衰えていて冬場の急激な温度変化についていけずヒートショック状態になってしまします。特に家庭の浴槽内の溺死事故につながるケースが多くなっていますので注意が必要です。
ヒートショックを防ぐには食後の血圧が下がっているタイミングでの入浴は避け、簡易的な暖房機を設置して服を脱ぐ前に脱衣所を温めるとよいでしょう。高齢者がいる家族は入浴中に声かけをするなどの気配りも必要です。今年の冬は例年に比べて寒波の勢いが強いので、ヒートショックにならないように特に注意して温かい春の到来を待ちましょう。